
私のプロフィールについて語ったことがないが、会社員である。比較的大きな役割の一つが「新卒採用担当」である。そこでは、就職活動中の学生さんや協力してもらう若い社員と話す機会が多い。学生さんとは面接で話すことも多い。
先日出会った学生さんと面談したことが、とても印象に残ったので、少しお話ししようと思う。
来社の理由
先日、学生さんが最終面接のために来社した。緊張をほぐすために、面接前に私が軽く面談をした。ノックをしてその学生さんが待つ部屋に入っていくと、座っていた学生さんが私の顔を見るなり、急いで立ち上がり、少し緊張した面持ちでお辞儀をした。
「さて、今日は最終面接ですが」と言いかけたところで、学生さんが私をさえぎり、「今日はそのことでお話しがあり参りました。」と言い、先を促すと「選考を辞退したいと思います。」と続けた。
使命感
とても期待していた学生さんなので、残念な気持ちも大きかったが、わざわざ会社に来て、言いにくいことを私に伝える、という選択をした学生さんの気持ちを尊重したくなり、話を聞いてみた。学生さんは、そう決断した理由を話してくれた。
「御社の社員の方は、お会いした人すべて大好きです。ただ、御社の仕事は、この私以上に活躍される人が必ずいると思います。しかし、私の決めた業界は、『私がやらないと』と思ったのです。」つまり、使命感を持ったのだ。話しながら、彼女は泣いていた。
その言葉を聞いて、残念という気持ちよりも応援したいという気持ちが大きくなった。だから、以前大先輩からいただいた言葉について話した。
好機
「啐」は卵の中にいるヒナ鳥が卵の殻を内側からつつくこと。啄は、親鳥が殻の外からつつくこと。卵からヒナが生まれるそのときに、同時につつくという意味。すなわち、両方が一致してはじめてヒナが生まれることから、「機を得て両者相応じる得難い好機」のことだ。
その学生さんが使命感を持ったことが「口卒」で、就職先としてその業界を選ぶと自分自身で決断したことが「啄」だと思ったのだ。だから、その学生さんの決断は間違いないものに思えた。
注)「啐」が文字化けしている場合の漢字の説明:「口卒」すなわち「くちへん」に「卒」という字
誠実さイコール「箱」の外
会社から送り出すときに、その学生さんはきちんとお辞儀をして、「ありがとうございました」と挨拶をし、玄関扉を閉じた。そして、閉まったドア越しにもう一度丁寧にお辞儀をしてから帰って行った。
その学生さんの誠実な言葉、態度、行動が私の心を動かした。だから、こうやってブログの記事を書こうと思った。その日、その学生さんとの出会いを思い返していたら、その誠実さの発露は、その学生さんが常に「箱の外」にいることではないかと思い至った。
年が半分にも満たない学生さんから、たくさんのことを学ばせてもらった。本当にありがとう!その業界に就職し、がんばってや!
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